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「小さいおうち」

IMG_1110[1]本を読むのは嫌ではないですが、ほかが忙しいとそれを押してまで読む方ではありません。ですから、読むことになる本とは、稀有な出会いをしているといつも感じています。

先日、大阪に行った折に、母に本をプレゼントしましたが、その時、私も1冊、この際だから何か読もうと思って購入した本が「小さいおうち」です。同じ題名の絵本を知っていて、それと同じような装丁なのが、まず目を惹きました。

ラベルの作品紹介には、昭和初期、女中奉公に出たタキが、晩年に綴ったノートが現在につながる・・・と書かれていて、どうしようか迷い、ほかに3冊ぐらい検討したあとに、まあこれにしようと決めて購入しました。本屋に山のように並んだ中から選びとられる1冊は、不思議な出会いと言ってもいいと思います。

 

読みやすく、引き込まれるような内容で、後半一気に読んでしまいました。

主人公のタキが美しい奥様を慕いつつ努める「小さいおうち」での日々。それを晩年のタキさんが回想して書いているスタイルなので、現在からの目線もあって面白いし、何より興味深いのが、昭和10年から昭和20年までの暮らしが書かれていることです。生活スタイルが意外と今とあまり変わりなく、手作り中心、人の交流が密で華やかな時代、しかし平和に暮らしているうちに、徐々に大変になっていく様子がよくわかります。

「小さいおうち」にも、ささやかな事件と戦争による被害があるわけですが、時間がたって振り返ることで、その時にはわからなかったものがあきらかになって結果を残しているように思います。

今という時は、ただひたすらに生きるしかありませんが、将来誰かが振り返った時に、少しでも輝きを残していられるようにと願うことと、世の中のことでいえば、とにかく平和であるようにと思います。

そして、どういうわけかあまり関係ない言葉が浮かんできました。NHK朝ドラで繰り返し出てくる言葉「女があきらめたら世界は終わるのよ!」

 

夢ノートのつづき

今年の冬は、いつもの年にも増して寒さが厳しい気がします。関東地方では例年12月は序の口の寒さですが、今年ばかりはすでに真冬並みの寒さでした。年があけると、さらにそれに拍車をかけるような寒い日が続き、日本海側のとてつもない雪のニュース、こちらにも珍しく雪が降った日もありました。大寒や地震の噂、31周年の記念日も静かに過ぎて、ようやく2月を迎えました。

今日は朝から、南からの強風が吹き不穏な音を立てていますが、温度がやや上昇、太陽の光も眩しく、家の中にいる分には、春近しという感じです。2月は寒いけれど、この眩しい光の中に春を感じることが支えです。

     

寒い日々と眩しい光の季節は、自分の生きて来た日々とこれからをじわっと見つめ、考えるときでもあります。そんなことから、去年の1月、一昨年の1月は、・・・何をしていたのか過去のページを覗いてみたりしました。1年前は流石についこの前の様な気がしますが、2年前のことは「そーだったんだ!」と再認識。過去年には、今年ほど寒い年は無いと書いている年もあったりで、毎年似たようなことを考えながら少しずつ年を重ねてきたようです。

新聞の連載小説、村上 龍の「55歳からのハローライフ」、珍しく読み始めています。一話目は、女の人の再婚相手探しの話。そして、今は二話目、勤め先の会社を解顧され、ホームレスの恐怖にかられる男の人の話。それぞれの、心の動きが、リアルに描かれていて面白い。二話目の話のタイトルが、「空を飛ぶ夢をもう1度」。  関係はないけれど、何だか「夢」という言葉に反応するものがありました。

この「小さな日記」は、2005年私が××歳から始め、もうすぐ7年。ずっと昔の大人になれない少女時代の「夢ノート」のつづきのようなスタンスで始めました。共通点は未来の自分へのメッセージ。停滞気味のこの頃ですけれど、今にしかない感動をさがしながら、これからも今を記録して行きたいと思います。

 

実家での日々

昨日、大阪から戻りました。

実家は、8年前に父が無くなってから母が1人で住んでいます。2年前に、7回忌が済み、月日のたつのが早いと感じてからまたあっという間に2年が過ぎました。いつの間にか、実家行きは、8月の夏休みの頃と、2月の命日の頃に行くのが定番となっています。

そして、その中身も近頃では決まって来て、日数は3泊4日。中二日間のうち1日はお墓参りに和歌山へ。電車、バスと乗り継いで片道2時間かけて行きます。82歳の母がこのお墓参りを毎月やっているのだから感心します。母の実家もある生まれ故郷だから、そこにお墓を持てて(分家なので父の死後墓を購入)良かったのかもしれませんが。

夕方には戻り、天王寺あたりでショッピング&夕食をして帰ります。

もう1日の使い方が、ここ何回か、映画を見ています。今回は、イメージだけで決めて、菅野美穂主演のジーン・ワルツを見ました。思っていた感じではなっかたですが、何カ所か印象深いシーンや言葉がありました。

映画を見た後は、1階下にある大きな書店の横の喫茶店でお昼を食べます。以前も紹介しましたが、この書店中喫茶店は、座席に3冊まで本を持ち込んでいいので、今回の「ジーン・ワルツ」の原作本なども持ち込んでパラパラと比較したりしました。原作の方が、遺伝子、病院、代理出産などのテーマにつながるところが詳しく描かれているので楽しめそうと感じ、購入意欲が数パーセント動きましたが、購入した本は「白夜行」。堀北真希のポスターがちょっと気になっていたのかもしれません。

母ともども、この映画館→本屋の喫茶店に、すっかり気に入ってしまって、しばらくはこのパターンにしようと話し合いました。

この日は、早めに帰宅できるので、今回は私の手料理を申し出ました。母は、もともととても丁寧な手料理を作る人でしたが、近頃は一人暮らしだからと手間のかからないものを生協カタログなどから探し出して、シンプルな暮らしをしていることに今回気づきました。

私が作ったのは、最近集まりで作った2品「治部煮」と「七色なます」。8人分くらいのレシピをそのまま作ったので、お隣に住む、やはり1人暮らしの91歳のIさんにお裾分けしました。Iさんは、あちこち出かけて帰ったばかりで、疲れて何もする気なく座ってたところだったのでとても嬉しいと喜んでくれました。

大阪の母のマンションも、日本の社会と同じ構造で、年々高齢化が進んでいます。1人暮らしの家も多いですが、JRの駅に1分、1,2階は大型スーパーが入った生活至便の場所の価値を今味わっているように思います。

充実した4日間は、あっという間に過ぎ、復路に着きました。大阪も年々変化をとげています。今回の気づきは、大阪駅。乗換専用のきれいな通路が出来ていました。

新年に出会った3冊の本

年が明けて、早1週間。近場に出かけたり、本屋散策をしたり、楽しく過ごしたり、いらいらしたり、色んな時があるものの、中々その時をとらえられないまま、1週間が過ぎました。
 
そんな中で、私を楽しませた本3冊について、記すことにします。
 
まず1冊目は、夏目漱石の「心」。
いまさら・・・という感じですが、たまたま本屋で、手にした「名作を読み解く・・・」という本のトップに取り上げられていたので、興味深く見ているうちに引き込まれてしまいました。新たに気付かされたのは、明治という時代背景、そして夏目漱石の奥深さですが、自分の「心」に曇りの無い生き方をすることが幸福に暮らすに欠かせないことと感じました。
 
2冊目は「双子の騎士」。
これは、隣町の図書館で読んだ、手塚治虫の名作。「リボンの騎士」の続編です。
「リボンの騎士」は、子どもの頃好きだったお話で、私の友人には、理想の人はフランツとまでいう大ファンの人もいましたが、最後はサファイアとフランツは結婚しめでたしめでたしで終わっているものとばかり思っていましたから、この続編は何十年かぶりの目からウロコでした。
近頃、年のせいか漫画の世界にはあまり引き込まれないのに、久しぶりに「双子の騎士」には楽しませてもらいました。昔の回路が復活した感じに。
久しぶりに読んで、改めて手塚さんのドラマチックなお話展開に圧倒されました・・・と共に、結構おとぎ話的(神秘的、暗示的)だなあと感じました。
 
最後3冊目は、お正月にBook offで見つけて、上下巻購入した「天使と悪魔」。
ダ・ヴィンチ・コードの作者の第1作目の作品で、興味がありました。ダ・ヴィンチ・コードは、お話に入り込むのに第1章分は読みましたが、今回のはもう初めから引き込まれる展開になっています。今、読み始めたばかりで、とても先が気になりますが、如何せん、没頭して読み進む時間がなく、ちょっとお預け状態。でもまあ、楽しめる推理小説が手元にあるのは嬉しい気分です。
 
 
 

ちひろ展

近くの美術館では、この夏休み期間、いわさきちひろの原画展がやっています。
ちひろ美術館は、安曇野と東京の2箇所にあって、そこから貸し出された120点が展示されています。
 
  
 
安曇野も東京もどちらも行ったことのない私は、この機会にちひろの原画展に行けるのを嬉しく思っていましたが、8月もあと1週間とせまって、ようやく出かけてきました。
 
この原画展に先駆けて、どの絵が一番好きかのアンケートとコメントの応募があったようで、展示の絵の横には、様々なコメントも添えられていました。
 
私も、いわさきちひろの絵は、そこはかと惹かれるものを感じますが、特にどの絵が?と尋ねられても、この1枚に思い出がというものはありませんでした。
 
しかし、今回じっくり展覧会を見て、昔の作品の中に見覚えのある懐かしいものがいくつかあるのに気付きました。「赤いくつ」や「アルプスの少女」など。
また、おやゆび姫の絵も、私のイメージの中にあるものでした。
 
展示コースの中ほどに、ちひろのアトリエを再現した場所がありましたが、そのうしろの本棚には、私も親しんだ童話全集が並んでいて、ちょっと昔にタイムトラベルした気持ちになりました。「小川未明」「アンデルセン」などの全集が。
 
そして、その横にちひろの言葉の記されたパネルがあり、その最後の言葉にとても共感しました。「大人というものはどんなに苦労が多くても、自分の方から人を愛していける人間になることなんだと思います」という、一文。メモをとろうかとも思いつつ、頭に記憶しましたが、年のせいもあり、家に帰ったころには曖昧になっていました。でも大丈夫、パンフレットをよくみると、この言葉だけ取り出して、書かれていました。ちひろさんのキーワードだったようです。
 
展示コースを出たあとにある売店には、大いに足を引きとめられました。
今回私が選んだ、ちひろの絵はこのようなものです。そして、一筆箋と。
 
  
    
 
 
       
 
 
ちひろの生涯については、以前本で読んだことがありましたが、今回あらためて、この透明で純粋な絵を描く画家の人生に思いを寄せる時が持て、いい時間でした。

夏休みに見つけた本

8月に入り、不安定な天候ながら、今年もなんとなく、ようやく夏を感じる日々になりました。
家に学校に通う子どもがいなくなっても、世の中、8月となれば、毎日が平日ではない感じなので、夏休み気分です。
 
先日、出かけた先の大きな書店で手に取った本で、今度近くの書店で買おうと思った本がありました。結構目立つように置かれていたので、話題の本なら近くの書店にもあるだろうと思ったからです。
しかし、そう思いつつも時間がたってしまうと、タイトルも作者もすっかり忘れてしまっていましたが、書店で見れば思い出すはずと思って探してみたものの、1件目の書店では、それらしきものは見当たりませんでした。
代わりに、福岡伸一氏の3冊目の本「世の中を分けてもわからないもの」(だったかな?)という本を見つけ、斜め読みをしましたが、購入は思いとどまりました。
 
そして、昨日2件目の書店。こちらはちょっと小さめなので、無いかなと思いつつ、小さな書店だけに探す範囲が狭かったこともあり、タイトルも忘れたお目当ての本を見つけ、購入することができました。
タイトルは、『50歳からの楽しい楽しい「ひとり時間」』で作者は三津田富左子さん。
 
      
 
こういった、人生の手引きっぽい本は立ち読みこそすれ、あまり購入しない方ですが、今回購入したには、訳があります。この筆者は、90歳の方なのです。なのに、その内容はこの年齢の人とは思えないほどの若々しさです。ちょっと、趣が違いますが、日本のターシャ・チューダーのようにも感じました。
 
それで、1つ計画が思いつきました。お盆に実家の母のところへ行くので、この本を持って行ってプレゼントしようと思います。
以前、ターシャ・チューダーの本も喜んでくれたので、きっと気に入ってくれると思います。
 
8月には、普段読めない本を読み、親せきとの交流があり、ちょっとした旅行などにも出かけたりします。
明日からは、2泊3日のバスツアーに出発です。
 
 

遺伝子の物語

長く続いていた晴天でしたが、とうとう昨日は冷たい雨の日になりました。
もっとも、雪が降るという予報でしたので、まだ緩和されたようですが。そして、今日はまた晴れの予報。
日本海側では、雪が降っているようですので、この冬の晴天は本当にありがたいことです。
 
新しい年を迎えてから、もう随分時間がたってしまったように思っていましたが、まだ10日。
 
人口密度の多い時間を過ごしていたので、時間が流れるばかり。
自分の中のメモリには色々たまっているものの、取り出して、読み返す時間がない状態です。
 
整理できないことはさておいて、年末に書店で見つけ、珍しく購入した本について。
 
「できそこないの男たち」福岡伸一著
タイトルにひかれたのではありません。以前読んだ「生物と無生物のあいだ」
と言う本の著者だったからで、中身は生物学、遺伝子のことが書かれています。
 
タイトルの意味するところは、少し前までは、男が基本形で、男から女ができたという考え方であったけれど、実際は女から男に変化するということが、遺伝子の研究でわかってきたということのようです。
 
ただ、生物学の話であれば多分読みたくなかったと思いますが、やはりタイトルが示すように、
この本は、生物学の話でありながら、文学的な語り口が全体を覆っているので、退屈せずかえって興味をそそられながら読み進むことができます。
 
発見エピソードや科学者の世界の紹介を、著者自身の視点、思い、関わり、体験を交えて書かれているのが魅力的です。
 
この語り口は、前回の「生物と無生物のあいだ」でも楽しませてもらいましたので、
今回も期待していますが、あまり読み進める時間がないのが辛いところです。
 

現実の暮らしでは、また大ぶり葉付き大根と、
今度は巨大白菜をいただいて、これの調理に頭をひねっています。
 
昨日は、朝出る前に、大根1本と里芋、油揚げを大ぶりに切って、
調味しただし汁で5分ほど煮たのを鍋帽子にセットして出かけました。
「ほんこさん」というお料理で、保温調理でうまくできあがりました。
 
今日は、白菜を何とかしたいと思います。
 
      

託児ルームで

今日の朝9時に、公民館の託児ルームにいました。
1人お子さんを預かることになり、頼まれて来たのです。
 
ゆうたくんが9時半に来るまで、子ども用の椅子に腰かけて、
沢山並んだ絵本の中から、3冊の絵本を読むことができました。
 
以前好きだった作者のもの、以前読んだけどどんな話か忘れたもの、以前題名だけ興味を持ったけれど読まなかったものです。
 
「うみいろのバケツ」立原えりか
 昔、この人のメルヘンや詩が、好きだったので手に取りました。
 
 女の子の青いバケツには、かにや、やどかりや、さかななどが毎日お泊まりして遊びに来ますが、
 ある日波の娘が来てからは、娘がバケツに隠れたまま毎日なみのしずくでドレスを編み始めます。
 そして、ある日とうとう出来上がって、美しい姿であらわれ波の向こうへ、消えて行く。
 青いバケツの底に、きれいな青い貝殻を残して。
 
 相変わらず、メルヘンの住人にしか見えない世界、心が描かれていて、今の私には消えかけの虹を見るような印象でした。
 
「100万回生きたねこ」佐野洋子
 紹介文によると、大人向きの内容。大人が感動するものは子どもにとってもいい絵本ということです。
 内容を忘れていましたが、読んでいくうちに以前読んだことを思い出しました。
 
 100万回生きたねこは、100万回死んだ経験を持つねこで、いつも飼い主とその環境が嫌いだった。
 このねこはいつも自分のことが一番好きだったのです。ところが、念願かなって、のらねことなって
 楽しく生きていたときに、白いねこのことが好きになり、家族を持つようになると、その家族のことは、
 自分よりも好きだと感じるようになり、白いねこが死ぬと悲しんで自分もその横で死んでしまう。
 そして、もう2度と生き返らなかった。
 
 今一、不可解さが残るものの、愛するものを持った生涯は、自分のことが一番好きだったときの100万回の生涯を寄せ付けない、二つとない生であると感じさせられました。
 
「葉っぱのフレディ」レオ・バスカーリア
 哲学者である作者が、生涯に1冊残した絵本だそうです。
 (実際は、教育学者で、少なくともあと2冊は絵本を残しているということがわかりました。この本数年前に、その誤訳について、ひと騒動起こした本のようです)
 
 フレディは、もみじの葉っぱのようです。春にたくさんの仲間と共に生まれ、太陽の光や、雨や風を受け、
 色んな時を仲間と共に過ごします。秋が来て、きれいな色に紅葉し、そして冬が来て去って行く。
 経験したことのないことはこわいけれど、すべては変わっていくものだからこわいものではない。
 雪の上に落ちて行く時フレディは、木全体を初めて見て、自分は木の一部であることを知る。いのちは、
 終わらないことを。
 
 まさに、人が生きる意味は?の問いかけを、葉っぱのフレディに託したお話。人は、その役割(使命ともいうべき)を生きることの中に、幸せを味わえるように定められていることを教えられます。
 
 朝から、託児ルームで、しばし濃い時間を過ごしました。
 
 

芸術の秋、読書の秋

 3連休の一番最後に、近くの美術館で開催されている、宮沢賢治展に行きました。
 
          
 
宮沢賢治の生涯を紹介する第1部と、
 賢治童話をたくさんの絵本原画で紹介する第2部で構成され、宮沢賢治ワールドを堪能しました。
 
    *館内撮影禁止のため、ここにあるのは、チラシなどからの写真です。
 
         
 
               *これは、今回はありません
 
  童画家の茂田井さんの作品は、日本橋図書館(9.28~10.24)や、安曇野ちひろ美術館にもあるということです
                                 
 
 宮沢賢治といって、まず思い浮かぶのは、やはり、「雨にもまけず、風にもまけず、・・・」ですが、今回は
その直筆の手帳が特別に展示され、また、賢治による絵画5点も確かに展示されてありました。
もっとも、本物展示は日が限られていて、昨日はレプリカのようでしたが。
 
                                 
 
 先の詩の他にも、「永訣の朝」は中学3年の国語で、
          また中1ぐらいに、「よだかの星」も教科書の出ていた気がします。
  娘達の時代には、「やまなし」や「注文の多い料理店」がとりあげられていたようです。
 
岩手の自然を愛し、お話の中に、地元の言葉を多用して、独特のリズムで視覚的幻想空間をよびおこさせるものが多いので、多くの画家がその世界を表現することに情熱を燃やしたとありました。
 
      
 
    また、賢治が生前に出版された「注文の多い料理店」の序文には、
      「粗末な食べ物と服装でも、光に照らし出されてあらわれるすがたは何ものよりも美しい」
                          というようなことが書かれているという説明が印象に残りました。
 
今まで「銀河鉄道の夜」には、なかなか入り込めず賢治の世界は苦手でしたが、
賢治は、岩手の財閥の長男に生まれたにもかかわらず、自然を愛し、自分の住んでいる地をイーハトーブ(理想郷)と名づけ、貧しい農民の暮らしを向上させることに全力を尽くした、とても心の清い人だったことを改めて知りました。
 
宮沢賢治の童話の世界は、大自然をバックに、人の心をあるときは風刺し、
      鋭い視点からのメッセージが織り込まれていることも感じることができました。
 
 そういう意味からすれば、宮沢童話は、私の好きなアンデルセン童話にも、通じるところがあったのに、
  十分には入り込めなかったのです。
 
「どんど晴れ」をきっかけに、関心アップ、印象アップの岩手との、今年の出会いを大切にしたいと思います。
 
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 読書の秋ということで、今興味を持って読んでいる本は「生物と無生物のあいだ」という
今、売れている本です。科学的な、アプローチながら、人間とはを改めて考えさせられています。
 
       
     追記  今日は中秋の名月
            
                午後8時半頃のお月様です。昨年よりも、きれいに撮れました。
                月だけのは、4倍ズームでフラッシュなし、ナイトスナップモードで撮りました。
    

『”星の王子さま”と私』に寄す

NHK教育の『”星の王子さま”と私』の番組を見ました。
 
サンテグジュぺリの「星の王子さま」は、私の愛読書の1つですが、
この本のファンは世界に700万人以上に上るそうです。この本を好きになる人は、
静かに熱烈に好きになりますが、一方で一体どこがそんなに良かったのかわからないという人もいます。
 
今回番組で話していたのは、終始このお話の魅力に迫ることがらで、
星の王子さまファンには、とても満ち足りる90分でした。
 
一昨年ぐらいから、「星の王子さま」の翻訳が自由にできるようになったのがきっかけで、
色んな人の訳の本が書店に並ぶようになりました。私も、興味深く思っていましたが、
もう17種類くらい出ていると知り、今更ながらこの本の関心の高さを思います。
 
今回は、このことを取り上げて、様々な訳の仕方から、キーワードを読み解くことがなされていました。
それで新たに、アプリボワゼというフランス語を知りました。
直訳すると、「飼いならす」という言葉だそうですが、「絆をつける」「なつく」「仲良くなる」という意味などもあり、
キツネとの一見たわいない、しかし深遠なる会話を繰り広げる中に、何回も使われています。
 
アプリポワゼするには、相手のために自分の時間をたくさん使わなくてはなりません。
そして、アプリポワゼした相手には責任があるのです。
 キツネと関わりを持つ中から、王子さまはそのことに気付くのです。
 
王子さまバラの花への思いを軸として、人の世界への深い洞察、生きる上で大切なこと、
生きる意味などがすべて書かれています。
そして、この話のキーワードの1つである「大切なものは目に見えない」の通り、
心を働かして読まなければ何も伝わって来ない、そんな本だと思います。
読む人の心に合わせて色んなメッセージが伝わってくるのです
 
夕日の沈んで行くのは、人を感動させます。
王子さまは、自分の小さな星で、寂しくなる夕日を、後ろに椅子をずらしながら、
1日に44回見たことがあると話しています。
 
色んな訳の本、興味深く思いますが、中に首をかしげるようなものもあるのは残念です。
 
世の中に愛するものがあるなら、そのために世界は違って見えるでしょう!このことに共感される人は
きっと「星の王子さま」のお話に、無関心ではいられないと思います。