近くの美術館では、この夏休み期間、いわさきちひろの原画展がやっています。
ちひろ美術館は、安曇野と東京の2箇所にあって、そこから貸し出された120点が展示されています。
安曇野も東京もどちらも行ったことのない私は、この機会にちひろの原画展に行けるのを嬉しく思っていましたが、8月もあと1週間とせまって、ようやく出かけてきました。
この原画展に先駆けて、どの絵が一番好きかのアンケートとコメントの応募があったようで、展示の絵の横には、様々なコメントも添えられていました。
私も、いわさきちひろの絵は、そこはかと惹かれるものを感じますが、特にどの絵が?と尋ねられても、この1枚に思い出がというものはありませんでした。
しかし、今回じっくり展覧会を見て、昔の作品の中に見覚えのある懐かしいものがいくつかあるのに気付きました。「赤いくつ」や「アルプスの少女」など。
また、おやゆび姫の絵も、私のイメージの中にあるものでした。
展示コースの中ほどに、ちひろのアトリエを再現した場所がありましたが、そのうしろの本棚には、私も親しんだ童話全集が並んでいて、ちょっと昔にタイムトラベルした気持ちになりました。「小川未明」「アンデルセン」などの全集が。
そして、その横にちひろの言葉の記されたパネルがあり、その最後の言葉にとても共感しました。「大人というものはどんなに苦労が多くても、自分の方から人を愛していける人間になることなんだと思います」という、一文。メモをとろうかとも思いつつ、頭に記憶しましたが、年のせいもあり、家に帰ったころには曖昧になっていました。でも大丈夫、パンフレットをよくみると、この言葉だけ取り出して、書かれていました。ちひろさんのキーワードだったようです。
展示コースを出たあとにある売店には、大いに足を引きとめられました。
今回私が選んだ、ちひろの絵はこのようなものです。そして、一筆箋と。
ちひろの生涯については、以前本で読んだことがありましたが、今回あらためて、この透明で純粋な絵を描く画家の人生に思いを寄せる時が持て、いい時間でした。